- クロミッドは排卵検査薬に影響が出ます
- クロミッドはホルモン分泌を抑えてしまう?!LHサージ抑制って何?
- クロミッドを服用すると排卵検査薬が反応しないこともあります
- クロミッドを服用した周期はいつから排卵検査薬が使えるの?偽陽性は出るの?
クロミッドは排卵検査薬に影響が出ます
「クロミッドは排卵検査薬に反応する」という噂をネット上で見かけることがありますが、それは誤りです。直接クロミッドの成分(クロミフェン)が排卵検査薬に影響を与えるわけではありません。
ただしクロミッドの作用は間接的に排卵検査薬に影響を与えます。クロミッドはLHサージという排卵ホルモンを抑える作用を起こす可能性があるからです。
排卵検査薬はLHサージに反応するように作られているためクロミッドを服用すると正しく反応しないことがあります。
LHサージとは何でしょうか。そしてこのLHサージを抑制するとなにが起こるのでしょうか。
クロミッドはホルモン分泌を抑えてしまう?!LHサージ抑制って何?
クロミッド(成分名クロミフェン)には脳の視床下部という場所に働きかけて、卵胞ホルモンのエストロゲン生成が足りないよと騙す作用があります。
より正確にはクロミフェンが視床下部のエストロゲンを感知する鍵穴に無理やり差し込み、エストロゲンが着いたころには鍵穴がどれも埋まっている状態になります。しかもクロミフェンはエストロゲンの作用をほとんど持っていません。
結果として「あれ?エストロゲンの鍵穴には反応があるのにエストロゲンが働いていない??」と視床下部が騙されてしまうのです。
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騙された視床下部は多くの女性ホルモンを分泌させる
実際は十分な量のエストロゲンがあるのに司令塔の視床下部が「少ないよ」と騙されていると下垂体に「女性ホルモンが足りない、もっと多くのホルモンを出すように」と指令します。
すると下垂体はゴナドトロピンというホルモンをたくさん放出し、卵子の成長と排卵を促します。
ゴナドトロピンにはいくつか種類があり排卵を促すFSHや黄体化を促すLHがあります。特に排卵を起こすために欠かせないのはLHで、LHが急激に多く分泌されることで排卵を促すスイッチになります。
LHが急激に増えることをLHサージと呼び、LHサージが起こった後24~36時間後に排卵されます。普段より多くのFSHやLHが分泌されることで自力で排卵が難しい方でも排卵を促すことができるのです。
クロミッド自体が積極的にLHサージ抑制を促すわけではありません。視床下部がホルモン不足だと騙されてしまうだけです。
しかし排卵期までクロミッドの作用が続くとLHサージ抑制効果が出てしまい、卵胞がじゅうぶんに大きくなっても排卵しないことがあります。
クロミッドを服用すると卵胞が30mmまで成長しても排卵しないことがあります。その理由がLHサージの抑制効果によるものです。
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クロミッドを服用すると排卵検査薬が反応しないこともあります
クロミッドは病院や個人によって若干変わりますが月経周期5日目ごろから服用するのが一般的です。
5日間服用することが多く、月経周期10日には飲み終えます。これはクロミッドがいつまでも体内で作用し続けるとLHサージが抑制されてしまうおそれがあるからです。
クロミッドを服用したら排卵検査薬が陰性になった、線が薄い、反応しないという話が聞かれるのはこれが原因と考えられます。
単なるタイミングの問題でたまたまLHサージの時間に排卵検査薬で確認できないこともありますが、クロミッドはどちらかといえば「卵胞を育てる」作用が強い薬です。
クロミッドを服用しているなら同時に内診で卵胞の育ち具合を確認しているはず。排卵検査薬に頼らなくてもプロの医師が目で確認しているので排卵チェックに過剰に神経をすり減らすことはありません。排卵検査薬は補助的なものと考え、あまり深刻に捉えないほうが良いでしょう。
クロミッドはリスクを最小限に排卵を促せる薬として産婦人科では重宝されている薬です。
LHサージ抑制をできる限り抑えるために病院によっては血中のエストロゲン濃度を何度も計測しながら必用最低限のクロミッドを処方するところもあります。
排卵できないときはスプレキュアという点鼻薬やhCGホルモンの筋肉注射などで排卵を促します。
クロミッドを服用した周期はいつから排卵検査薬が使えるの?偽陽性は出るの?
クロミッド服用中は排卵検査薬に偽陽性が出るなどという話もありますが本当でしょうか。
クロミッドを服用することで体内のホルモンバランスが崩れて偽陽性や偽陰性が出るという話はたびたび聞かれます。
クロミッドを服用した周期の排卵検査薬はいつから始めたら良いのでしょうか。クロミッドを服用すると人によっては排卵が遅れることがあり、月経周期10日まで服用した場合、16~17日ごろに排卵することが多いことが知られています。
医師の診断次第ですが自己判断なら少し余裕をもって月経周期14日ごろから初めても良いかもしれません。
「分からないことがあれば医師に相談して安心しよう!」
繰り返しになりますが内診をしているなら排卵検査薬は補助的な役割に過ぎません。排卵検査薬の結果に振り回されずに分からないことがあれば医師に納得できるまで説明を受けましょう。
他にも患者さんはたくさんいるので一度退席して再び説明を受けることもあると思いますが、納得できずにモヤモヤしながら排卵検査薬を使うほど勿体ないことはありません。
分からないことは「短く的確にまとめてメモ書きしてから」医師に相談しましょう。診察時が理想ですが多くの病院では電話相談も有料で受け付けています。